第1回 電子図書館導入の背景から、運用直後の実績まで
■はじめに
クラーク記念国際高等学校は、「夢・挑戦・達成」を行動指針として1992年に開校した広域通信制高校です。国内外に60箇所以上の拠点を持ち、1万1千人以上の生徒が学ぶ日本最大級の高等学校です。第1回は我が校が電子図書館を導入するに至った背景から、初期の運用実績までを報告いたします。
北海道深川市にあるクラーク記念国際高等学校の本校
■広域通信制高校としての課題
多くの広域通信制高校にとって課題となるのが「教育水準の標準化」「タイムリーな1対1対応」です。特に我が校では、毎日学校に通学しない「通信型プログラム」で学ぶ生徒や、全日型コースに在籍しながらも、留学等で長期にわたりキャンパスを離れる生徒が少なくありません。専門分野の学習のために、外部施設に移動して学ぶということもごく日常的に行われています。キャンパスを超えた学びがあるからこそ、生徒一人ひとりの個性に合わせた学習が可能になります。だからこそ、どのような学習スタイルの生徒に対しても、一定の教育水準が保証されていることや、毎日通学しない生徒とも密なコミュニケーションを行う体制を整えることが非常に重要です。そこで、我が校ではこれらに対応する方法の一つとしてICT環境の整備を進めました。
2004年から運用を開始した「クラークwebキャンパス」は、高校卒業要件となる74単位を修得するためのブラウザ学習システムです。Web環境を徹底的に整備し、教員全員が生徒一人ひとりの学習履歴を共有できるようにしたことで、履歴に基づくコーチングの強化にもつながりました。生徒はキャンパスで教員と直に会話をするだけでなく、「クラークwebキャンパス」を通してもコミュニケーションを取ることができます。2014年からはこの「クラークwebキャンパス」をマルチデバイス化し、単位修得以外の学習コンテンツを充実、さらに、2018年からは通学型プログラムの全日型コースに在籍する生徒全員がタブレットを購入し、eポートフォリオの制作や双方向授業も開始。ICTを活用した学習を学校全体で推進するに至りました。
2004年から運用を開始した「クラークwebキャンパス」は、高校卒業要件となる74単位を修得するためのブラウザ学習システムです。Web環境を徹底的に整備し、教員全員が生徒一人ひとりの学習履歴を共有できるようにしたことで、履歴に基づくコーチングの強化にもつながりました。生徒はキャンパスで教員と直に会話をするだけでなく、「クラークwebキャンパス」を通してもコミュニケーションを取ることができます。2014年からはこの「クラークwebキャンパス」をマルチデバイス化し、単位修得以外の学習コンテンツを充実、さらに、2018年からは通学型プログラムの全日型コースに在籍する生徒全員がタブレットを購入し、eポートフォリオの制作や双方向授業も開始。ICTを活用した学習を学校全体で推進するに至りました。
- 報告課題サポート・・高校卒業単位取得に向けての学習
- 創学WEBシステム・・予備校授業の視聴
- マイガク・・大学受験に向けての学習の型の定着
- 基礎学習・・中学校の学び直しなど基礎学力の定着
- Study+・・クラーク独自の教材・進路指導資料など
- その他、全日型コースに在籍する生徒にはOffice365、schoolTakt、Evernote、brushupなどのアカウントも与えられます。
■電子図書館導入の経緯と内容
ICTを活用した学習の推進にあたり、思い当たったのが電子図書館でした。生徒が全国各地にいる広域通信制高校では、1キャンパスに在籍する生徒数が少数である場合もあり、揃えられる蔵書には限界があります。しかし、電子図書館では全国のキャンパスで蔵書を共有することが可能となり、最小のコストで最大の効果をあげられます。また、電子図書館を既存のブラウザ学習システム「クラークwebキャンパス」に組み込む形で導入できるということだったので、学習の相乗効果も得られるのではと思いました。インターナショナルコースを持つ我が校において、英語の多読教材が活用できることも魅力でしたし、貸し出し状況によってコンテンツの見直しができることも電子図書ならではの利点です。
そこで初年度は1,187ライセンス、7,008冊を試験的に導入。生徒は一度に3冊、最大14日間の貸出を可能としました。
そこで初年度は1,187ライセンス、7,008冊を試験的に導入。生徒は一度に3冊、最大14日間の貸出を可能としました。
■運用実績、利用促進への課題
2018年5月から運用を開始した「電子図書館 LibrariE」は、開始当初は話題性や物珍しさもあって爆発的にログイン数が伸びたものの、すぐに利用数は減少していきました。そのまま夏休みに入り、ログイン数はさらに低下。日常的に利用するという生徒はごくわずかで、多くの生徒は一度ログインしたものの、何らかの理由でその後の利用がないということがわかりました。これらの結果から、生徒のヒアリングを行ったところ、(1)そもそも電子図書館自体の存在を知らない (2)知っているがログインができない(パスワード忘れなど)(3)ログインしても読みたい本がない (4)いつ覗いても同じ内容 という4つの課題が見えてきました。これらの課題をどのように解決するかが次なる課題となりました。
電子図書館LibrariEの導入から1年。様々な工夫を凝らしたことで、2018年6月には426だった貸出数が2019年6月には1,461となり、休みの日に読書をする生徒も増えています。第2回は、利用を促進するためにおこなった様々な工夫についてご紹介いたします。
電子図書館LibrariEの導入から1年。様々な工夫を凝らしたことで、2018年6月には426だった貸出数が2019年6月には1,461となり、休みの日に読書をする生徒も増えています。第2回は、利用を促進するためにおこなった様々な工夫についてご紹介いたします。
※クラーク記念国際高等学校について
1992年に開校したクラーク記念国際高等学校は、通信制高校の自由なカリキュラムを生かし、生徒一人ひとりの才能開花を目指した教育をこれまで提供してきました。クラークに入学する生徒は「通学型プログラム」と「通信型プログラム」の大きく分けて2つのプログラムを選択します。その中から、さらに生徒自身の興味関心に合わせ、コースや専攻、選択授業などを選び自分にあった時間割を組み立てることができるようになっています。
こうした特徴ある教育システムの成果として、近年では海外大学や国公立大学など難関大学への進学者も増加傾向にある一方で、オリンピック出場を目指すスポーツ選手など学外活動も重視する生徒の入学も目立つようになり、生徒の多様性が広がっています。
クラーク記念国際高等学校は「中卒勤労者のための学校」というイメージだった通信制高校に新しいあり方を示したパイオニアとして、多くのフォロワーを生み出しました。我が校の開校以前は日本に5校しかなかった通信制高校は、今では250校以上に増えています。
1992年に開校したクラーク記念国際高等学校は、通信制高校の自由なカリキュラムを生かし、生徒一人ひとりの才能開花を目指した教育をこれまで提供してきました。クラークに入学する生徒は「通学型プログラム」と「通信型プログラム」の大きく分けて2つのプログラムを選択します。その中から、さらに生徒自身の興味関心に合わせ、コースや専攻、選択授業などを選び自分にあった時間割を組み立てることができるようになっています。
こうした特徴ある教育システムの成果として、近年では海外大学や国公立大学など難関大学への進学者も増加傾向にある一方で、オリンピック出場を目指すスポーツ選手など学外活動も重視する生徒の入学も目立つようになり、生徒の多様性が広がっています。
クラーク記念国際高等学校は「中卒勤労者のための学校」というイメージだった通信制高校に新しいあり方を示したパイオニアとして、多くのフォロワーを生み出しました。我が校の開校以前は日本に5校しかなかった通信制高校は、今では250校以上に増えています。